2009年9月8日火曜日

仕込み中のそらごとです。 味感速度 こんぶとワイン編

こんぶの実験の話です。

だしのこんぶは 一晩水に浸ける というのが定説のようです。
水の温度で おいしい旨味がでるからですね。一晩水だしします。
そこから火をつけて、沸騰直前に引き上げるんですね。
また浸けておく 水の温度で すごく変わりますが さておき、

3度 くらいの冷蔵庫の温度の水に こんぶを 2晩 3晩 4晩!
浸けておくと どうなるか…
という 御料理人にバカにされそうな話なんですが…

実はその料理に向き合う時間で 美味しさが異なります。

牛丼を5分で食べる喜びのバージョンと、 庭を眺めながらゆっくり懐石料理の余韻を楽しむ喜びのバージョン みたいなものです。

ワインと同じですね。
口に入れて 旨味が爆発する 現代的なワイン。
安価なものでも 特に新大陸系は 口にいれて1秒で ウマっ! ってなるように研究されてますが、 余韻は… あんましありません。
コンビニ弁当でも 口に入れて ドカン! ですね。 後味は… ビールで流すのが最高 笑

アタック派ですね。
アタック! アタック! 刺激的でどんどん食べれます。

一方 ローヌ、 ブルゴーニュ、 ボルドー、や イタリア その他各地の 銘醸ワインのオールドヴィンテージワイン…
ゆっくり熟成されたワインは、
口元から  喉、  またその先へゆっくりつたわる  後味  …余韻 の素晴らしさに ウットリです。
ほんの一口で その刻々と変化する 物語のような余韻 香りを ゆっくり楽しめます。最高のリリース感です。

ところでこんぶを冷水に 4晩もつけておくと 実は 口元 舌というより 食道で ジワ〜っと 登り立つような旨さがでてきます。 その変わりこんぶだし自体のアタック感はなくなっていきます。

で これもオールドヴィンテージワインと同じで 出来上がって(封をあけてから)時間がたったりあまり揺すったりすると旨味が消えてしまうようになります。ちょっと繊細です。

ただ この出来立てこんぶだしに 軽く塩を落として、 いただくと、
それはもう ちょっと唸ってしまう美味しさです。

ただ おだしは このあとの 数種のかつをだしとの バランスの上になるので
そこからの 旨さバリエーションチャートは もう謎解きではなく、 頂きものの 驚き発見の世界です。

なので、基準は必要で、これはあくまで遊びの世界ではありますが。

料理の味わいなんて TPOで チョイスです。

お客様の顔見ながら 「どうかな??」ってそのちょっとした 駆け引きが楽しみのひとつ。 そこに 実は味感速度もあります。